【地区別】高校駅伝強豪校~九州地方~

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高校駅伝の名門校について紹介します。
近年の全国高校駅伝出場校だけにとどまらず、優秀な長距離選手を多く輩出する名門校が1県に複数あります。
インターハイや全国高校駅伝(都大路)には出場せずとも、箱根駅伝で活躍する選手も沢山います。

今回は、九州地方の強豪校についてご紹介します。
九州は昭和初期から駅伝熱が高くハイレベルな地域です。
かつては「九州を制する者は全国を制す」と謳われました。それが派生して「兵庫を制するものは・・・」になっていったりと、駅伝王国九州は熱いです。

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九州地方を代表する超名門校3校

大牟田高校(福岡)

大牟田高校は押しも押されぬ高校駅伝界の超ビッグネームです。
都大路で5度の優勝を誇ります。

近年こそ都大路に出られない年がちらほらありましたが、毎年全国優勝を狙うようなチームをつくってきました。
名将大見治夫監督が勇退された後、OBの赤池健監督が指揮をとっています。

代表的な出身選手

  • 伊達秀晃:大牟田高校→東海大学→中国電力
    大牟田時代は四天王と呼ばれた一人。3年時は当時珍しかった5000m13分台を記録し、トラック、ロードともに強さを見せた。東海大でも下級生からエースとして活躍。出雲駅伝、箱根駅伝など主要区間で数多くの見せ場をつくった。実業団では力が発揮できないまま引退となったことが残念。大牟田高校のスピードランナーに多いが、フォアフットでフラミンゴのような走りが特徴。
  • 土橋啓太:大牟田高校→日本大学→旭化成
    大牟田高校時代は四天王のひとつ上の学年。3年時の国体5000mで西脇工の北村聡と競り合いの末に先着し高校記録を樹立。日大、旭化成では実力の割に物足りなさは感じるもののトラック、駅伝には登場していた。2年時の都大路1区で区間賞候補に挙げられながらまさかの大ブレーキとなったシーンは多くのファンの記憶に残る。1年時は全国制覇のアンカー、3年時も1区で奮わず、都大路では天国も地獄も経験。
  • 磯松大輔:大牟田高校→法政大学→コニカミノルタ→コニカミノルタ監督→トヨタ九州コーチ(2021年現任)
    大牟田高校、法政大学、コニカミノルタでもキャプテンを務める。コニカミノルタ時代はプレイングコーチの時代もあり。走りでも精神的にもチームを引っ張る支柱でありニューイヤー駅伝1区で確実に仕事する様が印象的。レースを作ってくれるスターターとして全幅の信頼を寄せられておりニューイヤー駅伝では監督に「1区は磯松に任せておけばいい」と言わしめたほど。
    無骨で熱い男臭い選手。
  • 鬼塚翔太:大牟田高校→東海大学→NTT西日本(2021年現役)
    大牟田高校では1年生から活躍。1年時の都大路ではアンカーを務め、4チームでのトラック勝負を経験。優勝した山梨学院高校に敗れはしたものの名勝負を演じた。東海大学に黄金世代の一人として入学し3大駅伝フル出場。箱根駅伝1区は終始区間賞争いを演じた姿が印象的。
    東海大学のユニフォームにサングラス姿、腰高で大牟田高校特有のフォアフットの走りが格好良く、スタイリッシュな選手。実業団でもスピードを活かした走りで活躍を期待したい。

大牟田高校も毎年のように名選手を輩出しています。

特徴

大牟田高校は、圧倒的なエースを育てることが非常に多いです。
いずれも長い距離も走れるだけでなく、スピードもあって華がある選手です。

また、皮肉なことに都大路では毎年のように優勝候補に挙げられながらなかなか勝てないイメージがついています。が・・これがまた人気の秘密でもあります。
圧倒的なエースが大一番でしくじったり、その中でも他の選手が見せ場をつくったり、良くも悪くも安定したレースができません(失礼しました)。見ているほうからすれば、ドラマチックでドキドキするレースになるんです。
ライバルの西脇工が計算されたような堅いレース運びを見せるのに対し、大牟田はマンガのような波乱万丈さがあります。

伝統的な坊主校です。

九州学院高校(熊本)

熊本も駅伝激戦区ですが、その中で最も勝ち続けている強豪九州学院。
都大路での優勝こそないものの、必ずといっていいほど上位に食い込んでくるチームです。

代表的な出身選手

  • 井川龍人:九州学院高校→早稲田大学
    九州学院時代から世代NO.1選手として活躍。早稲田大学でも元気な姿を見せているものの駒大の田澤選手をはじめやや猛者の影に隠れている印象。
    2021年シーズンには10000m27分台をマークし、名実ともに一流選手であることを証明。箱根駅伝では大暴れを見せてほしい。
  • 鶴川正也:九州学院→青山学院大学
    都大路1区で区間賞を獲得するなど九学では大車輪の活躍を見せた。
    ゴールデンルーキーとして青山学院に加入しており、1年目から大きな活躍が期待される。順調に才能を伸ばしていくことを願う。

特徴

九学の選手も軸のしっかりした走りをする印象が強い。
筋肉質の厚い体で安定したフォームで走り切るスタイル。
伝統的な坊主校であり、人格形成が根底にあることが外からでも分かる。
禿雄進監督が長きに渡って指導を務め、若返りが進んでいる伝統校の中では古株になる。

小林高校(宮崎)

高校駅伝御三家の一角、小林高校です。
オールドファンが非常に多い学校です。
宮崎日大の台頭があり、都大路を奪われることも出てきましたが、安定した力は維持しています。

代表的な出身選手

  • 谷口浩美:小林高校→日本体育大学→旭化成→旭化成コーチ→沖電気監督→東京電力監督→東京農業大学助監督→宮崎大学特別教授(2021年現任)
    ご存じ日本陸上界レジェンドのひとり。日体大時代は箱根6区で「山下りのスペシャリスト」として3年連続区間賞。旭化成入り後はマラソンで大活躍。1991年世界陸上東京大会マラソン優勝、バルセロナ五輪マラソン8位入賞。バルセロナ五輪の際には給水地点で転倒し「こけちゃいました」とインタビューで答えたことは有名。やや首を傾けて早いピッチで路面を捌いていくフォームが印象的。
  • 榎木和貴:小林高校→中央大学→旭化成→沖電気コーチ、トヨタ紡織監督→創価大学監督(2021年現任)
    中央大学時代は箱根駅伝で4年連続区間賞、総合優勝も達成。当時の指導者は大志田秀次現東京国際大学監督。旭化成ではサブテンはならなかったもののマラソンを中心に活躍。
    創価大学監督として2021年箱根駅伝で総合優勝まであと一歩と迫る準優勝は記憶に新しい。温厚な口調だが同レース中の「さあ島津(4区、エース)、今年も伝説つくるよ」という監督者からの声かけはワクワクするものを感じた。
  • 今西駿介:小林高校→東洋大学→トヨタ九州(2021年現役)
    東洋大学で箱根6区山下りを担当。青山学院の下りのスペシャリスト小野田、東海のエース館澤などがいたため大活躍は難しかったものの、安定したフォームで淡々と下りをこなし、信頼は厚かったと思われる。トヨタ九州入り後はまだ大きな活躍は見られていないが飛躍に期待したい。

特徴

派手な印象こそないものの、古くからの名門の貫禄があります。九州を代表する伝統校です。
選手層が厚く、県内トップクラスの選手が集っています。
毎年のように大学、実業団にコンスタントに選手を送り込みます。

福岡県の強豪校

大牟田高校

昔からトップを走り続けてきたのが大牟田。
全国に名だたる名門中の名門です。
近年、自由ヶ丘に都大路を奪われることがありますが、決して弱体化はしていません。
一線級の選手を毎年しっかりと揃えています。
2021年は県予選でアンカーにアクシデントがあり、自由ケ丘、福岡第一にかわされたようです。

自由ケ丘高校

近年、成長著しい新興勢力。
初出場した都大路でも上位を走っています。
大牟田高校を脅かす存在にまで成長し、全国でも一気に名が知れわたっています。
2021年都大路代表校です。

九州国際大付高校

激戦区福岡にあっては都大路でこそみかけないものの伝統校です。
九国大の選手も箱根駅伝や実業団など上位レベルで活躍していることも少なくありません。
長らく九州地区の強豪校の一角です。

福岡第一高校

2021年県予選では2時間8分台で2位に入っています。
ここ数年で急速に力をつけてきています。

その他

全国でもトップクラスにいた福岡大大濠の姿が見えませんね。
大牟田が出てくる以前はNo.1チームでしたし、大牟田に抜かれてからも好選手を輩出し続けていました。復権に期待したいです。

佐賀県の強豪校

鳥栖工業高校

2021年都大路では上位進出が狙えるチームですね。
ここ最近は派手な活躍が増えてきている印象です。
伝統的に強さを維持し続けており、数多くの選手を輩出し続ける安定した強豪校です。

白石高校

昔から鳥栖工業と並ぶ佐賀県の強豪です。
都大路では準優勝経験があります。
前田和浩選手(白石高校→九電工)、高井和治選手(白石高校→駒澤大学→九電工)など抜群に強く、長く活躍する選手を輩出しています。

長崎県の強豪校

松浦高校

ここ数年、都大路出場が目立ちますね。
伝統的な駅伝校ではなく、近年になって力をつけてきた印象です。
県内No.1の位置に定着するでしょうか。

鎮西学院高校

長年県内上位に居続ける強豪校です。
三菱重工のエース、マラソンでの活躍著しい井上大仁選手(鎮西学院高校→山梨学院大学→三菱重工)の出身校です。
大学、実業団と上位レベルで活躍する選手も多いです。

瓊浦高校

瓊浦も長崎県陸上界を引っ張ってきたチームです。
都大路でこそ姿を見ませんが、九州地区では名の知れた学校のひとつで、大学、実業団にもしっかりと選手を送り込んでいます。

その他

長崎と言えば諫早なのですが、辞めてしまったのでしょうか。
全国でも非常に強く、長門俊介選手(諫早高校→順天堂大学→JR東日本→順天堂大学監督)、藤原新選手(諫早高校→拓殖大学→JR東日本→プロランナー→スズキヘッドコーチ)などなど、多くの有力選手を育ててきた名門なのですが、火が消えてしまわないことを祈ります。
新興勢力として創成館高校が力をつけてきているようですね。

熊本県の強豪校

九州学院高校

何十年にも渡って強さを維持する強豪です。
力強く綺麗なフォームが印象的ですね。
エースの力、層の厚さともに毎年トップレベルにあります。

熊本工業高校

九州地区の古豪です。
九州学院がいるために駅伝での全国舞台は遠いのですが、毎年強いチームをつくってきます。
箱根駅伝でもOBはたくさんいます。

千原台高校

こちらも古豪。
女子は全国でも優勝候補に挙げられることが多いですが、男子チームも強豪です。
2021年も県予選で2時間9分を切るなど相変わらずのレベルの高さを見せています。

開新高校

開新高校も都大路は遠いものの強いです。
他県なら何度全国舞台を踏めただろうと気の毒になります。
箱根強豪校にもしっかりと選手を送り込んでいます。

その他

鎮西高校、熊本国府高校も強かったのですが、どうしたのでしょうか。
特に鎮西高校は、松下龍治選手(鎮西高校→駒澤大学→富士通→國學院大学コーチ)の印象が強く、好きな選手だっただけに出身校も復活して欲しいです。
熊本県は本当にレベルの高いチームが多い。他県なら代表クラスが4-5校・・。九州大会に駒を進めるだけでも大変です。

大分県の強豪校

大分東明高校

ずっと坊主だったのですが、2021年都大路を見ると大分東明も坊主を辞めていましたね。
ケニア人留学生も起用するようになり、全国での上位進出も目立ちます。
長きに渡って強い学校で、かつて油布郁人選手(大分東明高校→駒澤大学→富士通)など世代No.1選手も育てた実績があります。

鶴崎工業高校

鶴崎工業も都大路常連です。
大分東明との2強を形成しています。

その他

2021年の県予選結果を見ると、2位に柳ヶ浦の名前がありますね。
鶴崎工業に先着しています。今後も強化を続けてくるのでしょうか。

宮崎県の強豪校

小林高校

宮崎と言えば小林高校です。
都大路皆勤賞ような学校で、全国での実績に波はあっても一定以上の成績を常に残す渋いチームです。
県予選にCチームまで出せるほどの選手層を持ち、Cチームでも他県ならトップ争いができるくらいのタイムです。
宮崎日大に数度苦杯を舐めさせられましたが、決して戦力は落ちていません。

宮崎日大高校

小林高校を撃破し、都大路を勝ち取った勢いのあるチームです。
監督は、かつての西脇工、日大のガッツマン藤井周一氏。
日清食品を引退後に指導者として赴任したのが宮崎日大。何かの記事によれば、旭化成の宗さんへ挨拶に出向いたところ「日本で一番大変なところへ来たな」と言われたとか。
とてもじゃないが小林高校を破れるとは思えなかったですが、さすがは藤井選手、いや監督。
西脇工の分身のようなチームなのか、全く違うカラーなのか。これから更に発展していくことでしょう。

その他

箱根駅伝などでたまに見かける出身校テロップが日章学園。
2021年県予選の記録は良くないようですが、何年かに一度好選手を育てるのでしょうか。

鹿児島県の強豪校

鹿児島実業高校

鹿児島は長らく鹿実一色のイメージ。
全国でも鹿実の黄色いユニフォームは上位で映えていました。
常勝チームをつくってきた名将上岡貞則監督が勇退され、その後が気になっているところです。
鹿実も名選手はとても多い、市田孝、宏兄弟(鹿児島実業高校→大東文化大学→旭化成)、大野龍二選手(鹿児島実業高校→旭化成→愛知製鋼)など強力な選手を輩出したほか、陸上界には鹿実出身はたくさんいます。2021年は都大路を逃してしまい、心配しているファンも多いでしょう。

出水中央高校

2021年都大路に初出場しました。鹿実を破っての出場です。
女子は一山麻緒選手(出水中央高校→ワコール)の出身校として名を上げていますが、男子の強化も進んでいたようです。
今後も成長が続くでしょうか。

鹿児島城西高校

鹿児島県内上位に顔を出すチームで、2021年県予選は2時間8分台で鹿実に先着しています。
出身選手も見かけるように思います。
タイムからいっても力のあるチームでしょう。

その他

樟南高校、鹿児島商業高校などもたびたび全国レベルの選手を育てています。

沖縄県の強豪校

北山高校

沖縄に革命をもたらしたチーム。
沖縄県は長距離が弱く、都大路は最下位が定位置でしたが、2020年、2021年で北山高校がそのイメージを一気に変えました。全国でも十分に戦える強いチームをつくっています。
2021年都大路では期待した人も多いはず。雪が舞うようなコンディションでなければ上位を脅かした可能性もありえます。今後台風の目になるかもしれません。

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